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活動報告

2013年07月25日

大学経営実務講座 第1回『大学の役割と現状-日本の再生に向けて-』

2013/7/23(火)に開催された第1回の大学経営実務講座では、国内外の大学にて約40年間に渡り教授として教鞭をとってきた若杉敬明先生が、その経験から日本の大学の実態を踏まえて、大学のサバイバル競争と経営戦略について講演を行いました。その後は参加者同士による熱い議論が交わされ、大変有意義な勉強会となりました。以下、トピックスを簡単にお伝えします。


第1回『大学の役割と現状-日本の再生に向けて-』 講師:若杉 敬明 氏

今回のメインテーマ
全体として縮小していく大学マーケットの中で生き残れる大学はどんな大学?


大学も分業の時代
18歳人口の減少と大学全入時代への突入。大学は、?入りたい大学"と?入れる大学"に二極化し"入りたい大学"にならなければ経営が成り立たなくなってしまいます。大学進学率が10%前後であった高度経済成長期の大学の役割は、難しい入試問題で成績優秀な学生を選別し、大学の授業で付加価値をつけて、各界におけるリーダー的人材を社会に送り出すことでした。しかし、同世代人口の半数近くが大学に進学する昨今では、エリートの道を歩むのはごく一部の人間で、大学の教員のレベルも様々なものとなっています。そのため、現代では大学の役割は一様ではなく、国際的に通用する優秀な研究者を教員として有し、優秀な学生を獲得しエリートを養成するような、ごく限られた大学以外は、「企業が必要とする人材に対して、自大学は付加価値としてどのような特性を学生に付与できるか」という教育ビジネスの本質に明確なビジョンを持たなければならなくなっています。

優秀な研究者が教育のプロとは限らない
学生の資質・能力と企業・職業をマッチングさせることが大学教育の使命だとしたら、それを可能にする教員・スタッフの特性など大学側の能力が重要となってきます。通常、大学院大学等で一定の研究成果を上げたものが教員として採用されるため、大多数の大学教員の関心は研究にあり、教育や管理については、二の次といったことが多くみられるのです。何をどう教えるかはすべて教員任せ、基本は専門分野の学問を学生に紹介すること、また、多くは自分が受けてきた大学教育を継承する傾向にあり、学生の求めに応える努力は最小限に留まっているのが現状です。

ビジョンを強く打ち出し、徹底した差別化戦略を
前述したように、大学の役割は一様でなく、さまざまな選択肢があり、いずれかを選ぶによってビジョンも異なります。大切なのは、大学としてのポリシーを明確に打ち出し、それに合致した教員や教育メソッドを選択するとともに、さらに経営資源を強化する施策を継続的に実行することです。具体的な施策として一つ例をあげてみるならば、教員採用の際に、「研究は自由に行って頂いて結構ですが、教育ポリシーに関しては、全面的に大学に従ってもらいます」というような条項を事前に契約に盛り込み、徹底していくというようなことが考えられます。

ビジョンを実現するために必要なこととは
以下の4つに集約されます。
・ビジョンにマッチした学生確保のために独自の入試選抜方法を開発し実施する
・独自の教育メソッドを開発し実施する
・独自の教育ポリシーにマッチした教員・スタッフを使用し、適切なインセンティブ・システムで動機づける
・受験生および企業(社会)に大学の教育方針を積極的に伝え、大学の名前(ブランド)を確立する。そのためのコストは惜しまない。


これらを具体的に実現していくには、高度な経営能力が必要であるとして、アメリカの大学の実例を交えて解説・議論を行いましたが、こちらのレポートでは割愛させて頂きます。

次回の大学経営実務講座は、9/12(木)に開催予定、テーマは「企業の新卒採用手法と大学生・短大生の学業について」になります。講師は大妻女子大学短期大学部・教授の玉木 伸介先生です。皆様のご参加を是非ともお待ちしております!
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