活動報告
2010年08月04日
第3回 勉強会 レポート
2010年7月30日(金)15時より、JAビル カンファレンスセンターにおいて、第3回勉強会が開催されました。
第1回は「大学法人の資産運用と法制度」というテーマで法務の観点から、第2回は「大学法人における資産運用とその課題」というテーマで資産運用の基本的な考え方について講演が行われましたが、第3回目の今回は、「大学の決算書類から見えること」というテーマで、財務諸表をベースに、大学の経営状況の分析と将来に向けての提言がなされました。
首都圏をはじめ各地の国公立大学や私立大学から、財務責任者・担当者、教育関係者など多数ご参加いただき、この会への期待の大きさを、さらに実感する機会となりました。
第3回勉強会の内容は次のとおりです。
- 会長の挨拶
<阪神高速道路(株)代表取締役会長兼社長 大橋 光博> - 講演「大学の計算書類から見えること」
<HCアセットマネジメント(株)代表取締役社長 森本 紀行> - 意見交換会
森本氏の講演では、各大学で開示している計算書類の基礎データを、国立大学法人、学校法人ごとに整理し、かつ関連法令も精査した上で、そこから浮かび上がる様々な問題点や課題について分析し、将来に向けての提言が行われました。
また、少子化の方向の中で、大学の成長・発展の可能性についても示唆され、明日の大学の経営につながる講演となりました。
主なポイントは以下の通りです。
- 大学の成長こそが、産業界の成長・発展、ひいては日本の成長に資する。
- 産業界の求める大学教育という視点も重要なポイント。
- 大学進学率、25歳以上の学生(社会人教育)の割合、留学生の割合は、先進国で最低レベル。大学の成長のヒントはここにあるのではないか。
- 計算書類が外部関係者にわかりにくい。区分会計を含め、開示のあり方を検討すべき。
- 国から国立大学への交付金は年々引下げられ、寄付金で補填しようとする動きが見られる一方、税の優遇制度はあるものの、寄付金は期待ほど集まっていない。
- お金の使い方や開示の点等で不透明感があるからではないか。寄付をしたくなるような仕組み作りが重要。
講演目次
- 学校法人の計算書類
- 学校法人の貸借対照表の再構成
- 学校法人の計算書類から浮かび上がる問題点と課題
- 学校法人の資産運用の問題点と課題
- 学校法人への寄付金
- 学校法人の第3号基本金の運用事例
- 国立大学法人の財務諸表
- 国立大学法人の計算書類から浮かび上がる問題点と課題
- 国立大学法人の資産運用(運用収益を事業に充当するもの)について
- 国立大学法人への寄付金
- 企業会計との哲学的な差
- 大学の付加価値創造
- 「仕組み債」の問題
勉強会にご参加いただきました皆様からのご意見をご紹介させて頂きます。
- 各会とも参加しているが、重要な機会と考えている。今回は会計関連であったが、減価償却の仕組みなどいろいろ参考になった。
- 大学院の専門教育と国際関係を担当しているが、財務諸表のチェック業務が入り、参加してみた。日本の教育のおかれている厳しさを実感している。
- 学校法人の計算書類のわかりにくさに同感する。他大学の情報は横のつながりで聞く機会があるが、それ以外ではなかなかつかみにくい。
- 財務は専門ではないがいろいろ参考になった。学内で、様々な課題が山積しているが、こういう場で意見交換するのもいい機会だと思う。次回以降も参加したい。
- 会計業務を引き継ぐ際に、前任者も必ずしもよく理解できていないのではと思う場面があった。
- 大変興味深く拝聴した。監査を担当しているが、財務面は専門家である監査法人に委任し、その意見をもとに監査している。
- 政府の予算見直しで交付金の削減が見込まれている。他大学の例も参考にしながら、今後の対応を考えていきたい。
- 金融は専門ではないが、よくわからないところは、こういう機会を捉えて勉強していきたい。
- 現在、学生数は伸びているが、さらに伸ばすために、キーワード(進学率、社会人、留学生)に注目したい。
- 第3号基本金の利回りが高位安定しているのは、奨学金という性格に鑑み、必要とする金額を収益の総合計から当該収益に優先して計上しているからである。
- 国立大学にいるものとしては、私立大学の会計の仕組みがわかりにくかったが、今日の講演は参考になった。
大学の明日を考える会では、大学財務に関する諸問題を関係者の皆様と共に議論する勉強会を開催予定(次回:9月10日)です。是非とも皆様のご参加をお待ちしております。
以上
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