活動報告
第4回 勉強会 レポート
2010年9月10日(金)13時30分より、JAビルカンファレンスセンターにおいて、第4回勉強会が開催されました。
第1回は「大学法人の資産運用と法制度」というテーマで法務の観点から、第2回は「大学法人における資産運用とその課題」というテーマで資産運用の基本的な考え方について講演が行われましたが、第3回は、「大学の決算書類から見えること」というテーマで、財務諸表をベースに、大学の経営状況の分析と将来に向けての提言がなされましたが、第4回目の今回は、「寄付金の運用収益を事業支出に当てるための前提条件」というテーマで、講演が行われました。
会を重ねるごとに、首都圏はもとより各地の大学から新たな方々をお迎えし、現場の方々の大きな期待を感ずるとともに、貴重なご意見や要望など多数頂戴いたしました。今後の運営に役立てていきたいと考えております。
なお、この会の活動をさらに社会に幅広く浸透、発展させていきたいと考え、当勉強会終了後、「特定非営利活動法人(NPO法人)大学の明日を考える会」の設立総会を開催いたしました。今後、認可が下り次第(2011年初予定)、NPO法人に衣替えしていくことになります。
関連情報につきましては、本サイトに掲載してまいりますので、設立趣旨に賛同いただき、是非ご入会などいただければと思います。
第4回勉強会の内容は次のとおりです。
- 会長の挨拶
<阪神高速道路(株)代表取締役会長兼社長 大橋 光博> - 講演「寄付金の運用収益を事業支出に当てるための前提条件」
<HCアセットマネジメント(株)代表取締役社長 森本 紀行> - 講演内容・意見交換会
森本氏の講演では、現状の寄付金の有り様に問題を投げかけ、寄付金が集まる仕組み(寄付者が寄付し易い仕組み)づくりと、米国の財団に見られる新たな枠組みづくりの提唱が行われました。
また、財団型の運営では、大学が機関投資家として資産運用に関わることから、その留意点を、代表的な機関投資家である生命保険会社や企業年金がこれまで歩んできた資産運用の歴史を例示として示され、財務面を含め大学経営の明日につながる講演となりました
主なポイントは以下の通りです。
- (寄付金をそのまま施設などに支出する方式ではなく)、寄付金を蓄積し、運用収益を事業支出にあてる財団型財政運営の採用
- 産業界や卒業生から幅広く寄付を募る仕組みづくり
- 寄付者の信頼を得られる寄付金の管理体制の構築
- 効率的な資産運用の実行
- 大学の付加価値創造⇒教育・研究・寄付金における社会的価値の創出
- 寄付金が集まる要件⇒使途、管理/開示、運用体制、寄付者の利益
<講演目次>
- 本日の課題
- 大学の付加価値創出
- 寄付が集まる要件
- 財務基盤強化及び差別化へ向けた大学経営の軸足
- 簿価主義の下での運用収益を出費に当てることの危険さ
- 企業年金の資産運用の歴史
- 生命保険会社の資産運用の歴史
勉強会にご参加いただきました皆様からのご意見を紹介させて頂きます。
- 10年前に大学の財務の仕事についたが、講演の中で触れられたバブル当時のことを思い出し、なつかしく拝聴した。
- 周年事業として寄付金の募集を考えており、そのヒントになればと思い参加した。
- 学内では学生支援に関する業務についており、何かその役にたてばと思い参加した。
- 今までにない方法で寄付金を集める方法はないかと検討している。この講演でいろいろ参考になるところがあった。今後、協力して具体的につめていけたらと思う。
- 本業の傍ら(金融機関勤務)、大学でファイナンスを講義している。大学教育に関心をもっており参考となった。
(質問)
Q.1
低金利下で1%以上の収益を上げるためにどうしたらよいのか?
オルタナティブを考えるのか?
もしそうならリスクを排除する方法はあるのか?
透明性は確保できるのか?
A.1
さる著名な大学でも、オルタナティブで大きな損失を蒙った。
この道のプロでも中身がわからないもの(ファンド)もある。
大学の関係者であればなおさらのこと。
やはり、判らないものはやらないということにつきる。
1%をあげることが難しい運用環境の中で、3-4%を期待するというのはいかがなものか、2-3%を上限にそのどこかに定めざるを得ないのではないか。
リーマン以降、想定以上のリスクが顕在化した。
絶対リターンがよくみえても、元本が毀損するリスクが大きいものもある。
市場にはいいものもあると思うが、玉石混交といった感じで、選別が難しくなっている。
次回の勉強会を11月26日(金)に予定しておりますが、今回いただいたご意見を参考にさせていただき、テーマの絞込みを行なっていきたいと考えております。是非とも皆様のご参加をお待ちしております。